日本人サッカー選手とアジア諸国のサッカー選手との違い【鈴木大地】

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「基準」の違い。それが、日本とアジア諸国(日本以外)の違いではないでしょうか。もちろん、アジア諸国だけでなく欧州、北南米やアフリカともその違いがはあるでしょう。

さて、本題に戻ります。アジア圏内では日本人のボールに対する技術や戦術理解、そして日本国内のサッカー環境(指導者、育成環境、試合運営、ピッチ状況)は間違いなくトップクラスと言えるでしょう。

しかし、近年のアジア諸国との対戦(特に育成年代)で日本が簡単には勝てる状況にはありません。それでは、なぜ現在のような状況になるのでしょうか?

想定外のプレイに対処する重要性

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理由は簡単だと思います。日本が他国と対戦した時に、日本人選手の想定外のことが多く起こるから、と私は考えています。さらに、単純に各国のサッカー環境が整備され、技術・戦術面においてレベルが向上してきていることもあります。

サッカーには、攻守において目的と原理・原則があります。そして、攻撃、守備、切り替えなどの各局面があります。その各局面の中にプレーの優先順位というものが存在します。これは、おそらくどの国や指導者でも、理論上の違いは少ないでしょう。

しかし、国や民族、宗教が違えば、物事の捉え方は異なり、何に対して重きをおくか、または何に配慮しなければならないか、ということに大なり小なり違いが出てくると思います。

国ごとの価値観の違い

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現在、自分がコーチングしていたり、様々な国のチームと対戦するなかで、本当に多くの違いを感じます。

例えば、ヨーロッパの選手について。ハイボールやルーズボールの競り合いについては、とてつもない迫力でボールにチャレンジします。こちらからして見れば、それでは間に合わずかわされると思う場面ですら、インターセプトも果敢に狙ってきます。おそらく、日本では目にできない光景です。きっと「危ない」「ファウルでは?」と思う場面が多発します。しかし、彼ら彼女のなかでは、それが常識、つまり「基準」です。それ以下では「ぬるい」と感じるのでしょう。その地域や国では、チャレンジしないこと自体がリスクなのかもしれません。

アジア圏内では、予測していない状況下でシュートが放たれたりします。いわゆるサッカー先進国では、無謀なシュートは少ないと思います。しかし、彼ら彼女らは1%でも可能性があれば、距離、角度、状況に関わらず得点を狙いに来ることがあります。それが、おそらく「常識」であるのでしょう。

こうした違いを認識しているのとしていないのでは、勝敗に大きく関わってくるでしょう。こうした違う基準や常識を持った相手と対峙する時には、自分達の基準を相手のチャンネルに合わせる必要があります。

それは、自分たちの質を下げたりするという意味ではありません。自分たちの常識の範囲内だけでは相手は動かないため、相手の基準や優先順位を理解する必要があるという意味です。

ドメスティックな価値観を破る

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では日本という国の特色はなんでしょうか。

サッカーに限らず、日本という国は失敗を出来る限り排除することにより成功率を上げること、失敗するリスクがあれば避けること、そして周囲の状況に合わせて自身の行動を決定することを得意または実行しようとしている、と私は感じています。

しかし、アジアの強豪国、サッカー発展途上国や新興国の中には、こういった価値観とは遠い、または真逆に位置するような価値観を持っている人々もいます。

私も当然、長く日本という国で教育を受け、サッカーをしてきました。その中で、この国のサッカーに対する基準や常識を無意識の中で身につけてきました。しかし、一歩外に出れば、それらの基準や常識は全くと言っていいほど役に立たないことが多くあります。特に、勝負のかかったゲーム等では、今まで培ってきたドメスティックな基準や常識はないほうがいいと言っていいかもしれません。なぜならば、いざ対峙する相手は自分たちと同じ基準でサッカーをしてこないこともあるからです。

各国の違いを認識して対処する

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サッカーというスポーツは、常に状況が変化し続けるスポーツです。最低でも45分間は、思考も身体運動も完全にストップすることは出来ません。その中で、プレーの成功要素を決める一つの要素として、「予測」することが挙げられます。

相手の動き、味方の動き、それらから発生する様々な現象を予測しなければなりません。その「予測」の精度を上げるには、日々のトレーニングや試合で経験値を増やさなければなりません。経験値=(量 × 質)となると仮定します。世界中どこにいても経験量を増やすことは出来ますが、質の部分は味方選手、対戦チームによって左右されます。当然、日本国内にいれば、日本人と一緒に練習や試合を行うわけで、この質の部分を変化させることは簡単ではありません。レベルの大小に違いはあっても、日本人同士では基本的なプレーの優先順位やコンセプトに違いは少ないからです。
 
ゲームにおいて、サッカーの「本質」「原理原則」「優先順位」などは、国や地域が違っても、大差はないはずです。しかし、それらを判断する「基準」というものは、国や地域によって、差が出てくるものだと思います。

日本が世界に打って出ようとするならば、早い段階か自分たちとは「基準」のちがう様々なものに触れて、自分たちの「基準」とは違うものが多くある、ということを認識していくことが必要ではないでしょうか。

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  • 鈴木大地
  • 2014年〜、チャイニーズタイペイ女子代表GKコーチ。日本サッカー協会により、アジア貢献事業の一環で現地に派遣される。過去に日本にてJリーグザスパクサツ群馬アカデミーで全カテゴリーのGKコーチを務め、地域のトレセンGKコーチやJFAGK-C級インストラクターなどを歴任。JFA-B級、JFA-GKA級ライ...

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