
1993年にJリーグが開幕した当初、サッカー人気は爆発的に向上しました。サッカーに興味が無かった人が、Jリーグ開幕をきっかけに興味を持った人も多かったのではないでしょうか。
しかし、この時の現象はまさにブームそのもので、異常な状態でした。正常に戻った今はどうなっているかというと、Jリーグの試合は地上波でも3%程度となっており、大手の広告代理店でも扱いきれない状態になっています。Jリーグ開幕戦のヴェルディ川崎 vs 横浜マリノスが30%だったことと比較すると、いかにサッカー人気が落ち込んだか分かると思います。
では、本格的にサッカー人気に陰りが見えたのかと思えば、そうとも言えない例外が存在します。それは日本代表戦です。
1993年:ドーハの悲劇 26%
1998年:W杯フランス大会 30%
2002年:W杯日韓大会 34%
2006年:W杯ドイツ大会 22%
2010年:W杯南アフリカ大会 30%
このように、今でも高視聴率を維持しているのです。つまり、サッカーの試合を見ることに興味がなくなったわけでも無さそうです。もちろん、代表戦はナショナリズムのようなものが関与するので、一概にJリーグとの比較でサッカー人気を語るのは危険ですが、少なくともサッカーに興味が無い国ではないと言えるでしょう。
日本と海外におけるサッカー人気の違い

視線を海外に向けてみると、日本との違いが見えてきます。極端に違うのがブラジルです。サッカーが人気というレベルを越えて、至るところで生活の一部として機能しています。例えば、草サッカーの試合を選手の親族でもない人が数多く観戦しに来て、満席状態なのです。これは、日本と対象的ですね。日本の草サッカーに、親族以外の人が見に来るケースはほとんどありません。
このように考えていくと、日本サッカーの人気が復活することは無いように感じるかもしれませんが、ポジティブな側面もあります。それは、サッカー人口や少年サッカーチームの増加です。
日本の少年サッカーチームは9000団体ほど存在すると言われ、この少子化の時勢で増え続けているのです。当然、サッカー少年の数も増えています。このことから分かるのは、単純にサッカーの歴史の浅い国というだけで、少しずつサッカーが根付いている段階と認識するのが適確だと思います。もしかしたら、数十年後には南米や欧米並みにサッカー文化が根付いている可能性があるのです。
Jリーグ開幕当初を知る人にとっては、「サッカーは落ち目だ」と思われるかもしれません。スポーツ文化として成熟した野球と比較すると、確かに浮き沈みが激しく見えます。しかし、発展の初期段階と考えれば特大の可能性を秘めたスポーツ文化と言えるでしょう。